親知らずを活かした矯正治療
8番(親知らず)は抜歯しない方が良いこともあります
親知らず=必ず抜歯しなければいけない歯だと思われている方も多いのではないでしょうか?
親知らずの状態(はえ方・むし歯の有無など)によっては、抜歯を推奨するケースもありますが、必ずしも抜歯をしないといけないということはありません。矯正治療を行う上で、親知らずを抜歯せず、あえて活かすこともあります。その詳細を本ページで解説します。
※本ページでは親知らずを「8番(親知らず)」と表記します。
- その8番(親知らず)を抜く前に!
- 7番が予後不良の場合、良い状態の8番(親知らず)を活かすことができます
Point8番(親知らず)の生え方・活かし方は人それぞれ異なります

親知らずが生える位置は、図の8番目の場所です。
最近では、生まれつき親知らずが存在しない方も少なくありません。
また、8番の歯が4箇所すべて生える場合もあれば、1本も生えないことや、上顎または下顎だけ生えること、1本だけ埋まったままの場合もあります。
当院では矯正治療前に以下を確認した上で、抜歯の有無や抜歯する歯を決定しています。そのため、8番(親知らず)は、できるだけ抜歯しない状態で初診相談を受けていただくことを推奨しています。
Check Point !
- 親知らずの有無
- 抜歯が必要かどうか
- 抜歯が必要な歯の場所、歯の動き
- お子さんの場合は顎の成長状況
- 現在の口腔環境(むし歯や歯周病などの治療歴)
口ゴボの場合
矯正治療で抜歯の対象とする歯は犬歯の後ろにある小臼歯を抜くのが一般的です。しかし、抜歯対象の歯の状態が良くない場合や、歯の動きを考慮して適さない場合には、7番目の歯を抜きます。
7番を抜いて、親知らずを活かし、その上で第一小臼歯を抜歯することでより口元を後ろに下げることができます。
親知らずは『要らない歯』と思われがちですが、歯根がしっかりしていて、位置や生える方向が良ければ、ほかの健康な歯と同様に活用できるのです。
Check Point !
- 抜歯対象の歯の状態が良好かどうか
- 8番(親知らず)が良い状態で活用できるかどうか
- 口ゴボの状態で、歯列を後ろに下げる必要があるかどうか
口ゴボは日本人に1番多い歯並びです

4本抜歯後、右上下の親知らずが萌出し活用した症例
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治療開始時:パノラマ
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抜歯後:パノラマ
よくある質問
健康な歯を抜歯をすることに抵抗感があります。
歯が少なくなることに不安を感じる人は多くいます。 しかし、適切な口腔環境を整えるために、抜歯が有効な場合もあります。
歯の本数が多いことが、必ずしも健康の証とは限りません。
満員電車に例えると分かりやすいかもしれません。適度なスペースがある方が快適で、無理なく乗り続けられます。
これは口の中でも同じことが言えます。
矯正治療によって整えられた歯並びは、それぞれの歯が健康に機能する理想的な状態です。実際、すべての歯がそろっていなくても、しっかり噛んで食事ができれば、100歳まで元気に過ごせる人もいます。
また、「親知らず」という名前のせいで不要な歯のように思われがちですが、健康な状態であれば役立てることも可能です。
大切なのは、歯の本数ではなく、口腔環境の健康です。
すでに8番(親知らず)がむし歯です。どうしたら良いですか?
治療が難しい場合には、残念ながら親知らずを活かすことができないため、かかりつけ医にて抜歯の対応をお願いすることになります。
むし歯の治療が可能な状態であり、親知らずを活かす必要がある場合は、親知らずを残せるようにかかりつけ医へ相談が必要になります。
まだ親知らずが生えていません。矯正治療中に生えてきたらどうなるのでしょうか?
成長期の方は、矯正治療中に親知らずが生えてくる可能性があります。8番(親知らず)が歯並びに与える影響は個人差があります。
矯正治療中に親知らずが生えてきた場合は、以下の点を考慮して抜歯の必要性を判断します。
- ・親知らずが不正な方向に生えている場合(例: 横向きや傾斜している場合)
- ・炎症や痛みの原因になっている場合
- ・歯列を乱すリスクが高い場合