今回の症例は、顔の中心の線に対して、上の前歯、下の前歯の中心がずれている症例です。
【初診時の歯並び】
一見、歯並びに問題が無いように思われるかもしれませんが、上下の歯の中心に対して青色の線を引くことで、上の歯が右側に下の歯が左側にずれが生じていることがわかります。
こちらの患者さんの場合は左側の若干の前突による偏りで中心が合わなくなっていました。
【治療経過】
下顎にセルフライゲーションセラミックブラケット装置(デーモンクリア)を装着し、上顎の左側にはII級・Ⅲ級治療装置(カリエール)を装着しました。
II級・Ⅲ級治療装置(カリエール)とはブラケット装着前に臼歯の移動に使用する装置です。右側にずれている上顎の歯に、左側から奥に引く力をあたえます。
左側の臼歯が奥に引かれることで、隙間ができました。上顎にもブラケットを装着し、全体の噛み合わを整えていきます。
非抜歯で約1年9ヶ月かけて治療しております。
上下前歯の中心の位置が改善されました。
矯正治療では、見た目を整えるだけでなく、噛み合わせなども考慮しながら歯並びを整えていきます。
●主訴
上下の歯の中心がずれている
●診断名あるいは主な症状
正中のずれ
●年齢
17歳9ヶ月
●治療に用いた主な装置
セルフライゲーションセラミックブラケット装置(デーモンクリア)
●抜歯部位
非抜歯
●治療期間
約1年9ヶ月
●メンテナンス頻度
月1回
●治療費用(税抜)
約800,000円(2018年4月時点)
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)
日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。