八重歯のある症例についてご紹介します。
八重歯とは上の歯の左右3番目に生えている犬歯が歯の列から、外側にはみ出している状態をいいます。
犬歯は先の尖った歯のため、飛び出してしまうことでより目立って見えます。
今回の患者さんは、子どもの頃はあまり気にしていなかったようですが、社会人になってから人と話す時に八重歯が目立つことが気になるようになったとのことで、ご来院されました。
初診時の写真です。
犬歯が前に飛び出して生えてしまっていることがわかります。
犬歯の生え変わりは比較的遅く、犬歯が生える前に、その他の歯が犬歯の生えてくる場所を埋めてしまったり、顎が生まれつき小さかったり、歯が大きかったりすることで、犬歯の生えるスペースが無くなり、八重歯になってしまうことがあります。
【治療経過 】
歯が並ぶスペースを確保するために、右上2、7番、左上4、8番、右下2番の計5本を抜歯しました。
矯正治療では小臼歯を抜歯することが多いのですが、今回は小臼歯ではない歯を抜歯しているのには理由があります。
右上2番目の歯と7番目の歯が失活歯(歯髄を失った状態の歯)であったためです。
矯正治療では歯並びだけでなく、生活歯(歯髄が生きている状態の歯)を考慮した抜歯も考える必要があります。
抜歯後、セルフライゲーション型セラミックブラケット装置(デーモンクリア)を装着し、約1年6か月かけて整列していきました。
矯正治療終了後、装置を外した時には、笑顔で歯を見せてお話をされていて、私たちも嬉しくなりました。
今後も会話を楽しめるようになることを祈っております。
●主訴
話している時に、八重歯が目立って気になる
●診断名あるいは主な症状
八重歯
●年齢
22歳0ヶ月
●治療に用いた主な装置
セルフライゲーション型セラミックブラケット装置(デーモンクリア)
●抜歯部位
右上2、7番、左上4、8番、右下2番の計5本抜歯
●治療期間
約1年6ヶ月
●メンテナンス頻度
月1回
●治療費用(税抜)
約800,000円(2013年8月時点)
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)
日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。