【初診時の歯並び】

他院にて矯正治療を行っておりましたが、納得のいく歯並びにならなかったとご相談いただきました。

元々、歯を並べるスペースが足りていなかったと思われるのですが、非抜歯で拡大床を使用して歯列を広げ、治療されていました。

※拡大床とは歯列を広げる装置です

拡大床を使うことは矯正治療を行っているとよくあるのですが、拡大床を使用すれば抜歯をせずに治療を行えるということではありません。

歯列を広げられる限度もあります。

今回は無理に広げて歯を並べようとすることで、前方に突出し、口ゴボの状態に。

また、かみ合わせが悪くなり、上下の歯の間に隙間ができてしまっていました。

非抜歯矯正治療後の歯並びを抜歯にて再治療した症例となります。

健康な歯を抜きたくない気持ちもよくわかりますが、精密検査を行い患者さんの歯並びを考慮して抜歯の有無は決定しています。

抜歯についての考え方をブログにまとめておりますので、よろしければこちらもご確認ください>>

せっかく歯並びをよくしようと始めた治療で、歯並びが悪くなってしまったらとても悲しいと思いますし、

再治療が必要になることで、通常よりも費用がかかってしまいます。

少しでも矯正治療の正しい知識を取得していただき、後悔しないクリニック選びをしていただければと思います。

 

【治療経過】

上下左右の4番目の歯を計4本抜歯し、歯が並ぶスペースを確保しました。

セルフライゲーションセラミックブラケット装置(デーモンクリア)を装着して、前に出た歯を後ろに引いていきました。

 

上下の歯がしっかり噛み合うようになり、口元もすっきりしました。

今回のケースのように、他院で矯正治療後に再治療というケースが増えてきています。

また、口ゴボで悩まれている患者さんからのご相談も増えておりますので、参考になりましたら幸いです。

その他、口ゴボのブログはこちらからも閲覧いただけます。

 

●主訴
他院で矯正治療を行ったが、納得のいく歯並びならなかった

●診断名あるいは主な症状
・上下顎前突
・開口

●年齢
16歳7ヶ月

●治療に用いた主な装置
セルフライゲーションセラミックブラケット装置(デーモンクリア)

●抜歯部位
上下左右の4番抜歯

●治療期間
約1年5ヶ月

●メンテナンス頻度
月1回

●治療費用(税抜)
約800,000円(2007年4月時点)

●治療を行う上での注意点(リスク・副作用)

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)

日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。

  1. 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
  2. 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
  3. 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
  4. 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
  5. 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
  6. ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  7. ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
  8. 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
  9. 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
  10. 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
  11. 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
  12. 矯正装置を誤飲する可能性があります。
  13. 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  14. 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
  15. 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
  16. あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  17. 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
  18. 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。