ガタガタとした歯並びのため、見た目も噛み合わせも気になるということで、ご相談をお受けしました。
30代の患者さんであり、30代であっても歯並びは良くなるのかという不安も抱えられていました。
確かにお子さんと比較しますと大人になってからの方が、歯は多少動きにくくなりますが、矯正治療は可能です。
実際、近年大人の矯正治療のニーズが高まってきているように感じます。
【初診時の歯並び】
本来、歯列は弧を描くような形が理想的です。
しかし、初診時の写真から分かるように歯列がガタガタとしている状態でした。
歯がガタガタとしていると見た目が気になるだけでなく、食べ物がつまりやすかったり、歯磨きがしづらかったりします。
また、前歯部反対咬合と右側臼歯部の鋏状咬合を原因とする噛み合わせのずれが起こっていました。前歯部反対咬合とは本来、上顎が下顎よりも前に来るのですが、前歯の部分が逆の噛み合わせになっている状態です。
鋏状咬合とは上の奥歯が外側に、下の奥歯が内側にすれ違うような咬み合わせをしている状態をいいます。
このように噛み合わせがずれることで咀嚼がうまくできなかったり、歯が内側や外側に倒れていることで磨き残しが多くなり、歯周病や虫歯のリスクも高まります。
【治療経過】
セルフライゲーションセラミックブラケット装置(デーモンクリア)を装着し、非抜歯で約1年4ヶ月かけて歯並びを整えていきました。
治療前の歯並びと比較するとガタガタとしていた歯並びが整い、歯列が綺麗な弧を描いていることがわかります。
目にわかる変化が表れ、患者さんにもご満足いただくことができました。
見た目が整うことで人と話すことへの抵抗も減り、噛み合わせが整うことでより一層食事も楽しめるかと思います。今後の生活がより豊かになることを願っております。
●主訴
歯並びがガタガタしており、噛み合わせも悪い
●診断名あるいは主な症状
噛み合わせのずれ
叢生
●年齢
36歳4ヶ月
●治療に用いた主な装置
セルフライゲーションセラミックブラケット装置(デーモンクリア)
●抜歯部位
非抜歯
●治療期間
約1年4ヶ月
●メンテナンス頻度
月1回
●治療費用(税抜)
約800,000円(2013年10月時点)
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)
日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。