下の歯が上の歯よりも前に出ていて、受け口の状態が気になるということで治療された患者さんの症例です。
【初診時の歯並び】
初診時の歯並びを見てみますと、前歯が上の歯よりも、下の歯の方が前に出ていることがわかります。
本来正常な歯並びは上の歯が下の歯よりも少し手前にあります。
受け口の状態だと前歯が噛み合わないため、食べ物がしっかり噛めなかったり、下顎が突き出ることで顔が長く見えたり、下唇が上唇よりも前に出てしまうことも多く、特に横顔にコンプレックスを感じる方も多いです。
【治療経過】
まず、上顎の前歯が舌側傾斜(舌の方に引っ込んでいる状態)が強かったので、正しい歯の角度になるようリンガルアーチという装置を装着しました。
この患者さんのように、前歯の傾きがある場合は、歯の裏側から力を加え、アプローチする必要があります。
舌側矯正装置(リンガルブラケット)は歯の裏側に取り付けるので、正面からは見えないというメリットがある一方で、ブラケットが舌に当たって気になるなどのデメリットもあります。
▼矯正装置の種類につきましては以下URLでご紹介しています。
https://www.yorozu-ortho.com/case/
【矯正治療後】
約1年4ヶ月かけて歯並びを整えていきました。
矯正治療により綺麗な歯並びを獲得することができ、下唇の突出感も目立たなくなり、口元の見た目もすっきりしました。
また、見た目の部分だけでなく、前歯の位置が整うことで、食べ物が噛みやすくなったと喜ばれていて、私たちも嬉しくなりました。
これから新しい歯列で楽しい食事と会話を楽しんでいただけたらと思います。
●主訴
受け口が気になる
●診断名あるいは主な症状
下顎前突
●年齢
25歳5ヶ月
●治療に用いた主な装置
舌側矯正装置(リンガルブラケット)
●抜歯部位
非抜歯
●治療期間
約1年4ヶ月
●メンテナンス頻度
月1回
●治療費用(税抜)
約800,000円(2010年5月時点)
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)
日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。