受け口で、横顔の見た目が気になるという、18歳女性の症例です。

受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出てしまい、噛み合わせが通常とは逆になっている状態をいいます。

患者さんが、小児か成人かで治療内容が異なります。

小児では、まだ骨が成長段階のため、骨格に原因のある場合は上顎と下顎の成長を調整するような誘導装置を使用します。骨格に問題がなければ、矯正装置を使用して整えます。

成人では、骨格の成長が終わっているため、矯正装置を使用して整えます。矯正装置で上下の歯の位置関係を整えることはできますが、下顎が突き出しているというような、骨格の問題が改善されない場合は、顎の外科的手術も併用して行うことがあります。

受け口が重度であると、顎の骨を削る外科的治療が必要なケースもありますが、今回は軽度であったので外科的治療・抜歯は行わず、矯正装置で治療しています。

 

初診時の写真です。

下の歯が上の歯よりも前に出てしまっていることがわかります。下の歯が前に出てしまっていることで、横から顔を見た時に、下唇が上唇よりも前に出てしまうことがコンプレックスとなっていました。

下顎が前方に出ているため、噛み合わせも悪くなり、奥歯を閉じても、上下前歯が閉じず、隙間が出来てしまっています。

 

【矯正治療中の経過】

セルフライゲーション型セラミックブラケット装置(デーモンクリア)を使用し、下顎歯列を後ろに下げ、上顎歯列を整列し、約1年2ヶ月かけて調整していきました。

 

治療後、上顎歯列と下顎歯列の隙間も無くなり、口元の印象がすっきりしました。

コンプレックスになっていた唇の位置も治療により改善され、患者さんにも喜んでいただくことができました。

特に20代前後の患者さんは、歯並びとともにお顔立ちに関するご相談が多い傾向です。

お悩みを抱えている方はぜひ一度、ご相談ください。

 

●主訴
口を閉じた時に上下の前歯の間に隙間ができてしまう。また、下顎が上顎より前に出ていて、横顔を見ると、下唇が上唇より前に出ていることが気になる。

●診断名あるいは主な症状
下顎前突

●年齢
18歳9ヶ月

●治療に用いた主な装置
セルフライゲーション型セラミックブラケット装置(デーモンクリア)

●抜歯部位
非抜歯

●治療期間
約1年2ヶ月

●メンテナンス頻度
月1回

●治療費用(税抜)
約800,000円(2017年8月時点)

●治療を行う上での注意点(リスク・副作用)

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)

日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。

  1. 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
  2. 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
  3. 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
  4. 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
  5. 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
  6. ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  7. ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
  8. 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
  9. 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
  10. 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
  11. 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
  12. 矯正装置を誤飲する可能性があります。
  13. 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  14. 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
  15. 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
  16. あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  17. 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
  18. 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。