今回は、乳歯から永久歯にかけての歯並びのお悩みについて記載します。
「乳歯の時はきれいな歯並びだったのに、永久歯が生えてきて歯並びが気になるようになった」というご相談をよくお寄せいただきます。
今回もその一例です。
多くの場合、6歳頃から12歳頃にかけて「乳歯」から「永久歯」へ生えかわり(※)その途中で歯並びが気になるということはよくあります。
※生え変わりの時期や順番は、個人差がありますので、目安として、お考え下さい。
「前歯の永久歯が生えてきた段階で、前歯と下の歯のガタガタが気になり、将来の歯並びが心配…」という将来のお子さんの歯並びをご心配される親御さんのお気持ち、よくわかります。
親としては子どもに『笑顔』でいられる歯並びと人生を送ってほしいと願いますよね。
今回の場合は永久歯が生え変わるタイミングを待ち、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置で治療を行い、抜歯することなく正常な歯並びを実現することができたケースです。
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置▶は、1日の装着時間が20時間です。お子さんが学校へ行っている間や親御さんの目が届かない場所にいる場合には、マウスピースを外してしまうということもあるため、本人の意思が無いと良い治療結果は得られません。非常に前向きなお子さんだからこそできた矯正治療でした。
小児矯正の時期では、成長期でしか治療できない顎の成長を誘導することや、キレイな歯並びを維持するための土台作りが中心となるため、
親御さんの協力体制も必要になります。
矯正治療開始時の痛みはないか、きちんと決められた時間マウスピースを装着しているか、周りのお友達から何か言われて傷ついていないか等、お子さんの小さな変化を見逃さないことが大切です。
お子さん本人が矯正治療に前向きであれば良いのですが、ご相談時に本人へお話を伺うとお子さん自身はあまり気にしていない、本当は矯正治療をしたくない…といった場合もあります。
小児矯正のページ▶でもお伝えしていますが、お子さんの気持ちが不在の治療は当院では行っていません。
お子さんが矯正治療に対して、前向きな気持ちではない場合、途中で治療が中断してしまい、うまく行かないことが多いためです。
矯正のタイミングは一人ひとり異なります。
子どもの時は矯正治療に対して前向きでなかったとしても、成長をし、思春期を迎えたら前向きになるということもあります。
歯並びについて気になる場合には、まず1つのタイミングとして小学校低学年の時期にご相談ください。
お子さん、親御さん、そして私達の三人三脚で、矯正治療を通して長いお付き合いができればと思います。
●主訴
乳歯の段階で歯並びがガタガタなので大人になった時の歯並びが心配。
●診断名あるいは主な症状
上下叢生
●年齢
8歳7ヶ月
●治療に用いた主な装置
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置
●抜歯部位
非抜歯
●治療期間
4年11ヶ月
●メンテナンス頻度
月1回
●治療費用(税抜)
約800,000円(2020年8月時点)
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について(改訂)
日本矯正歯科専門医機関の規定により、当院では矯正治療を行う上で、リスクや副作用を明示しています。
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いですが個人差があります。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性がありますが、その場合には改めて治療期間のスケジュール作成等をいたします。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響することがあります。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。程度によっては、虫歯治療を優先します。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。その場合には装置の変更等を行います。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。保定装置とは>>
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。